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霧立山地の標高700m以上に自生する草本類です。植物名欄は【和名/撮影地の通称/撮影年月日】の順です。 その枠から拡大画像にリンクしています。拡大画像から戻るにはブラウザの戻るボタンから戻ってください。 ※写真使用及びお問い合わせは【こちら】からご連絡ください。

アオベンケイ / 涸谷 / 05.09.15

アオベンケイ ベンケイソウ科 キリンソウ属。 (希)  漢=青弁慶。葉は肉質で厚く、 対生または互生、3枚ずつ輪生しているものもある。有柄で縁にはまばらに低い鋸歯がある。 花は淡い黄緑色。花が赤ければベンケイソウ。ブナなどの倒木や岩場の苔の中に生える。 和名の由来は、暑さや寒さ乾燥にも強いことから強さの象徴として「弁慶」が付いたという。 中国・朝鮮半島から薬草として持ち込んだとされる文献もあるが、深山に生息している状態を 見れば在来種ではないかと思われる。

アカショウマ / 白岩山 / 07.07.08 

アカショウマ ユキノシタ科 チダケサシ属 漢=赤升麻 普通アカショウマといわれているが、 白岩山岩峰の本種は、花弁がないことからツクシアカショウマということになるそうである。 ブナ林に生えるチチタケというキノコは、傷をつけると多量の乳液が出るのでチチタケと呼び、 食用として良い汁がでるため、うどんの出汁によいとされる。このチチタケを地方によっては チタケと呼びチタケを刺してつないで持ち帰ったことからチタケサシの属名がある。子供の頃、 野いちご狩で同じように野イチゴをさして繋いだ記憶がある方も多いのではないかと思う。

アキチョウジ / 涸谷 / 05.09.02

アキチョウジ シソ科 ヤマハッカ属。 (少) 漢=秋丁字。葉は対生し、有柄、縁には低い鋸歯がある。 花は花枝の先に細長い唇形状の青い花を多数つける。和名の由来は、秋に丁字形の花をつける から。本種も沢沿いに大きな群落を形成していたが、鹿の食害で姿を消してしまった。 鹿防護ネットの中で繁殖している。初冬には茎に霜柱をつくる。気温が氷点下になり、 地上の茎は葉を落とし枯れていても地中の根は生きていて水を吸い上げる。導管を 上がってきた水は枯れた茎から外へしみ出して凍る。このような性質を持つ代表的な 種にシモバシラがある。他にカメバヒキオコシ、シロヨメナなど。


アキノキリンソウ / 白岩山 / 05.09.15

アキノキリンソウ キク科 アキノキリンソウ属。 (少) 漢=秋の麒麟草。葉は互生し葉柄には翼がある。 葉えきから総花柄を出して黄色の数輪の花を開く。和名の由来は諸説あるようだが、 初夏に黄色に咲くベンケイソウ科のキリンソウをもじって秋に黄色に咲くことから アキノキリンソウとした説に賛同したい。山を歩いてアキノキリンソウの花に出会うと、 夏が終り、秋になったことを実感する植物でもある。


アマチャヅル / 白岩山 / 07.08.27

アマチャヅル ウリ科 アマチャヅル属 漢=甘茶蔓 多年草の蔓で白岩山岩峰基底部に生息する。雌雄異株。 葉は鳥足状の複葉5-7枚小葉がつく。葉は葉柄があり縁には薄い毛がある。葉えきから蔓を伸ばして 絡みつきながら地面を這うようにして広がる。甘味があるのでアジサイ属のアマチャにちなんで 命名されたそうである。朝鮮人参と同じ薬効成分があるとして一時ブームになったとかいう 記録もあるが定かではない。


イケマ / ガゴが岩屋 / 04.07.07

イケマ ガガイモ科 カモメヅル属。 (多)  宮崎県:絶滅危惧ⅠB類(EN_r)  つる性の多年草。 葉は朝顔のような卵形で葉柄があり縁は全縁。和名の由来は、アイヌ語で「神の足」という 意味だそうだ。根には毒があるという。鹿の食害に遭わないので繁殖している。花には蜜が 多いのか昆虫が多く集まる。アサギマダラの食草といわれる。夏には蔓が四方八方に延びて 地面を覆いつくす。果実はまるでオクラのような実をつける。秋には実が はじけて中から美しい羽を付けた種が出てくる。近似種に花柄が短く花冠の裂片が反り 返らないコイケマがある。  


イシヅチカラマツ / 白岩山 / 06.07.11

イシヅチカラマツ キンポウゲ科 カラマツソウ属。 (希) 漢=石鎚唐松。葉は互生し3出複葉、小葉は有柄、全縁、 先がまれに2~3裂する。和名の由来は、四国の石鎚山で発見されたことによる。カラマツソウ の中でもひときわ優しさと気品を漂わせている。花弁はなくて紫色のガクが花弁のように見え るが開花後は落下する。近年は、石鎚山のカラマツとも異なるといわれるようになったので 白岩山の固有種の可能性も出てきた。


イチリンソウ / 波帰 / 05.04.25

イチリンソウ キンポウゲ科 イチリンソウ属。 (多) 漢=1輪草。葉は有柄、2回羽状複葉。 山地の林縁などに生える多年草。根茎が横に広がって殖え群落をつくる。花茎は1個立ちで 一輪づつ咲く。白い花弁のように見えるのはガク片で花弁を持たない。近似種にニリンソウ がある。ニリンソウは、根生葉があり、本種は根生葉がない


イナカギク / 涸谷 / 05.10.10

イナカギク キク科 シオン属。 (多) 漢=田舎菊。葉は互生し、有柄、縁には大きな鋸歯があり先が鋭く尖る。 頭花の舌状花はやや縁が上側に反り返ったように見える。シロヨメナによく似るが、イナカギクは、 葉柄の基部が茎をやや抱くようにしているため、葉腋から茎が曲がったように見える特徴があるとされている。 宮崎植物研究会の南谷忠志氏は「本種はイナカギクと思われる。集落付近のものはシロヨメナで、 高所のものがイナカギクとなりそうである。この仲間は分類が難しく詳細な検討が必要である。」 とコメントがあった。


イヌヨモギ  / 白岩山 / 05.09.15

イヌヨモギ キク科 ヨモギ属。 (少) 宮崎県:絶滅危惧ⅠA類(CR_r) 漢=犬蓬。風媒花。葉は互生し、 葉身は先が広く匙形で葉柄には翼がある。縁には大きな鋸歯がある。頭花は球形で下を向いて密につく。 茎は毛に覆われている。


イワギク / 白岩山 / 05.09.19

イワギク キク科 キク属。 (少)  宮崎県:絶滅危惧ⅠA類(CR_r)  国:絶滅危惧Ⅱ類(VU)  漢=岩菊。氷期から石灰岩地帯に残存している大陸系の植物。地下茎を伸ばして繁殖する 。高さは30~40センチになり、葉は深裂する。秋に白色の舌状花を開く。蕾は薄紫色を帯び、 開花すると白色となるものがある。白岩山を代表する植物で秋には岩峰一面にお花畑をつくる。


イワキンバイ / 白岩山 / 04.06.27

イワキンバイ バラ科 キジムシロ属。(多) 漢=岩金梅。石灰岩の岩場に生息する。葉は3小葉からなる。 小葉にはほとんど柄はなく、縁には鋸歯がある。花は茎の先に黄色の5弁花を集散状につける。 近似種のツルキンバイから1月遅れて梅雨のころに咲く。梅雨空を跳ね返すように黄色がとても 鮮やかである。


イワタバコ / ガゴが岩屋 / 04.08.03

イワタバコ イワタバコ科 イワタバコ属。(少) 漢=岩煙草。方言=イワチシャ。葉は岩に張り付いたように数枚広がる。 幼葉は皺になっていて成長とともに皺が消える。有柄で縁には不揃いの鋸歯がある。葉の間から数個の 花茎を伸ばして紫色の花をつける。図鑑等では茎や花柄が緑色であるが本種は赤い。和名の由来は、 岩場に生息して葉がタバコの葉に似ていることからイワタバコ。薬になるとされて、かつてはお浸しや テンプラで食したものである。抗癌作用があるともいわれる。鹿に食べられて幻の花になりつつあるが 高い岩場では食害に遭わず繁殖している。


ウスゲタマブキ / 涸谷 / 05.09.02

ウスゲタマブキ キク科 コウモリソウ属。(少) 漢=薄毛珠蕗。葉は互生し下部ほど長い葉柄がある。 葉身はやや三角形で浅裂しオオカニコウモリなどに似ているが、表面に粗い毛があり、 葉えきに珠芽(ムカゴ)をもっている。和名は珠芽と広い葉を蕗に見立てて命名された。 鹿の食害で絶滅寸前のところ鹿防護ネットの中で急に繁殖始めた。


ウチョウラン / 白岩山 / 06.07.26

ウチョウラン ラン科 ハクサンチドリ属。 漢=羽蝶蘭。国:絶滅危惧Ⅱ類(VU)。 宮崎県:絶滅危惧ⅠA類(CR-g)。 草丈10~15cmほどの可憐な花である。石灰岩上の比較的日当たりがよくて乾燥する崖地にひっそりと咲く。 この種は、盗栽により絶滅へと追い立てた。保護対策は、「貴重な種は隠さなければ絶滅する」から 「知ってもらって皆んなで保護活動を展開する」に転換できないものか。


ウツボグサ / 白岩山 / 05.06.25

ウツボグサ シソ科 ウツボグサ属。(少) 漢=靫草。ウツボは、矢を入れる武具で花穂からイメージしたもの。 葉は対生し茎の先に花穂をつくる。草原の植物であるが白岩山岩峰のあちこちに咲いている。 古来より繁殖を続けているのか、または、登山者の靴などにくっついてきたものなのか不明。 あまりにも従来からあった植物のような顔をしているのでリストに入れた。夏、枯れても 立っていることから夏枯草ともいう。


ウド / 波帰 / 05.08.26

ウド ウコギ科 タラノキ属。 (少) 漢=土当帰。茎には多くの毛がある。 葉は互生、2回羽状複葉で小葉は有柄、縁には鋸歯があり、両面にも毛がある。 花は球状に花序を出して多数の白色の小花をつける。漢字では図鑑等に 「独活」とあるが「独活」はセリ科のシシウドをさすので「土当帰」が正しいと思う。 山菜の王者で若い茎はスライスにしてヌタで食すると美味、葉は佃煮にする。 ウド特有の強い香りがする。近年は鹿の食害で大きな株は少なくなった。


ウバタケニンジン / 黒岩 / 05.09.19

ウバタケニンジン せり科 シシウド属。 (希) 宮崎県:絶滅危惧Ⅱ(VU) 国:絶滅危惧ⅠB類(EN)。 漢=姥岳人参。小葉は細くて光沢があり、先は尖る。葉柄は鞘状に膨らむ。 花は散形花序に白色の小花を付ける。茎の高さは10~20cm。和名の由来の姥岳は祖母山の別名。 本種も鹿の食害に遭っているが、岩場で育つため、鹿の行くことができない崖地では種が保存されている。 霧立山系の黒岩、ツツジ岳で見かけるが、霧立山系に本種はまだ記録されていないようである。


ウバユリ / 涸谷 / 06.07.25

ウバユリ ユリ科 ユリ属。 (多) 漢=姥百合。方言=テッポウユリ。茎が太く、葉は茎の中ほどに付き、 長い柄がある。和名の姥の由来は、花の時期に葉が枯れることから「葉(歯)がない」 にかけたものという。方言は、横に伸びる長い花を鉄砲に見立てたもの。根には良質の 澱粉があり、食料のない時代に掘り取って食べていた。果実は、熟すると中から大きな 翼のついた種子が飛び出してくる。


ウメバチソウ / 竹の灰 / 06.10.20

ウメバチソウ ユキノシタ科 ウメバチソウ属。 (多) 漢=梅鉢草。葉は無柄で縁は全縁、茎を抱く。 花茎は長く伸びて白色の5弁花を1個づつ咲かせる。人里近くの湿地に生える多年草で しばしば群落をつくる。山野草の中でシマカンギクなどと共に最も遅く咲く花で ウメバチソウが咲いた後は一気に冬が訪れる。


オオキツネノカミソリ / 白岩山 / 05.08.10

オオキツネノカミソリ  ヒガンバナ科 ヒガンバナ属。 (多) 漢=大狐の剃刀。方言=オオセ。 葉は落葉樹が開葉する前の早春にすくすくと伸びてきて、落葉樹が開葉して 林床に光が入らなくなったら地下にもぐりこみ、夏に花茎だけを伸ばしてきて オレンジ色の花を開く。キツネノカミソリは雄しべ雌しべ共に花弁の先まで出ない。 本種は花の外に長く突き出る。「カミソリ」は葉の形からついた。根には毒があるが、 でんぷん質が多いので食料のない時代には水さらしで毒を抜き、食用として利用していた。 時として大群落を形成する。


オオキヌタソウ / 白岩山 / 04.06.04

オオキヌタソウ アカネ科 アカネ属。 (少) 漢=大砧草。葉は広く4枚づつ輪生し、 最上の分枝まで葉がついている。和名の由来は、果実の形が布をたたいて 柔らかくする砧(きぬた)に見立てた。どの図鑑にもこうした説明があるが、 その砧なるものを私たちは知らない。キヌタソウとの違いは、本種は葉が大きくで 葉柄があり、キヌタソウは葉が小さくて葉柄が無い。


オオバショウマ / 白岩山 / 05.09.15

オオバショウマ キンポウゲ科 サラシナショウマ属。 (少) 漢=大葉升麻。葉は1回3出複葉、 小葉は長い葉柄の先に大きな掌状の葉を広げる。花は、長い茎を伸ばして穂状の花をつける。 花に花柄はなく茎から直接雌しべ雄しべが出ている。


オオバヨメナ / 涸谷 / 05.08.10

オオバヨメナ キク科 ヨメナ属。 (少) 漢=大葉嫁菜。葉は互生し、有柄。 上部はしだいに無柄となる。茎は小さくてほっそりとしている。 花は白色の舌状花を少しだけつける。ブナ林の林床で、やや湿ったところに生える。 鹿の食害により、少なくなっている。鹿防護ネットの中では繁殖している。


オオバナオオヤマサギソウ / 涸谷 / 04.08.03

オオバナオオヤマサギソウ ラン科 ツレサギソウ属。 (希) 宮崎県:絶滅危惧ⅠB類(EN_r) 漢=大花大山鷺草。 葉は下葉の二枚が大きい。花は唇弁が舌状に垂れ下がり、両側に開いた花弁は 鳥が羽ばたいているように見える。和名の由来は、サギが飛んでいる姿を イメージしたものであろう。撮影地はオオヤマサギソウの南限。平成12年 版宮崎県レッドデータブックによれば「ほとんどの自生地で確認できない」 とされている。さらにその後の調査でオオバナオオヤマサギソウということになった。 大切にしたいものである。


オオルリソウ / 白岩山 / 06.08.25

オオルリソウ ムラサキ科 オオルリソウ属。 (少) 漢=大瑠璃草。花柄やガクは毛に覆われている。 和名の由来は、ルリソウより茎が高くて大きい、花が瑠璃色などによる。石灰岩が風化 して落下した礫の中に咲いている。草丈50センチほどで花の色が瑠璃色をした植物が目 にとまり、カメラのレンズを向けた。見るほどに瑠璃色が美しい。


オククルマムグラ / 白岩山 / 07.06.06

オククルマムグラ アカネ科 ヤエムグラ属。(多) 漢=奥車葎。茎は4稜あり高さは~50cm位。 葉は長楕円形で先が尖り6枚が輪生する。茎の上に白い小さな4弁花を開く。 茎や葉に刺状の毛がある。棘状の毛がないものはクルマムグラ。


オタカラコウ / 涸谷 / 05.08.20

オタカラコウ キク科 メタカラコウ属。 (多) 漢=雄宝香。方言=サカタブキ。 沢沿いの湿地帯に生息する。根上葉はロゼット状で丸くて大きい、 直径30cm以上になる。防虫剤に似た独特の香気があることから宝香。 葉が広いので野苺狩りなどで苺を包んだ。霧立越登山口のゴボウ畠の 呼称はオタカラコウの群生地をゴボウの葉に見立てたもの。近似種に メタカラコウがある。両種とも、近年鹿の食害に遭うようになり、 しだいに減少している。


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2009.03.10~