霧立山地の標高700m以上に自生する草本類です。植物名欄は【和名/撮影地の通称/撮影年月日】の順です。 その枠から拡大画像にリンクしています。拡大画像から戻るにはブラウザの戻るボタンから戻ってください。 ※写真使用及びお問い合わせは【こちら】からご連絡ください。
タカネハンショウヅル / 波帰 / 05.09.29
キンポウゲ科 センニンソウ属。 (多) 漢=高嶺半鐘蔓。
花が半鐘のような形をしていることからハンショウヅル。蔓を伸ばして木や草に
絡まって上がる。葉は3出複葉、小葉は先が尖り、縁には鋸歯がある。
花の色はピンクから白まで変化が多い。果実は、大きな房状の羽をつける。
タタケニグサ / 朝の戸 / 06.07.30
ケシ科 タケニグサ属。(多) 漢=竹似草。方言=ジャラジャラ。葉は互生し、有柄。
花は花弁がない。茎が空洞で竹のように伸びるから竹似草。方言は結実した時
、風に揺れると種がジャラジャラと音がするから。傷つけると黄色の汁が出てくる。
その液体は毒で衣服に付くと洗濯してもなかなか落ちない。伐採跡地など森林の
崩壊地に真っ先に生える。
タチネコノメソウ / 白岩山 / 04.05.14
ユキノシタ科 ネコノメソウ属。(多) 漢=立猫の目草。沢沿いの湿地帯に生息する。
草丈十数センチ、花も直径数ミリの小さな植物。名前の由来は、花を猫の目の閉じた
瞳孔にたとえたという。小さな花ゆえに名前では想像を膨らましたのであろう。
ネコノメソウは九州にはない。
タニギキョウ / 白岩山 / 06.05.04
キキョウ科 タニギキョウ属。 (多) 漢=谷桔梗。葉は互生し、長い葉柄があり、
やや丸い葉の縁には10個前後の鋸歯がある。花は、白色で5深裂し、内側に数本の筋がある。
草丈10㎝ほどでの小さな花で沢近くの湿度の高い林床に生える。
タネツケバナ / 波帰 / 06.04.17
アブラナ科 タネツケバナ属。 (多) 漢=種漬花。 葉は奇数羽状複葉。和名の由来は、
苗代の季節に咲くことから、種籾を水に漬けて発芽させる頃咲く花、転じてタネツケバナ。
湿地を好み、沢沿いの水気のある場所にのみ育つ。細長い果実をつけ、熟するとホウセンカ
のように果実の皮がくるくるとゼンマイのように巻いて種子を遠くへはじき飛ばす。
コンロンソウと共に人里に春を告げる花でもある。
タマガワホトトギス / 幻の滝 / 02.07.07
ユリ科 ホトトギス属。 (希) 漢=玉川杜鵑草。葉は互生し茎を抱く、縁は波状で全縁。
茎の先に散房花序を出して黄色の花をつける。花弁には褐色の斑点が多数ついている。
和名の由来は京都の府井出の玉川から名をとったものという。脊梁山地ではなかなか見かけない
種であるが、幻の滝周辺の絶えず霧が渦巻いているようなところで生息している。
湿度を好む植物であろうか。鹿の食害に遭い、鹿の入らないような絶壁の岩場の中でかろうじて
種を保っている。
タンナトリカブト / 椎葉白岩林道 / 06.10.15
キンポウゲ科 トリカブト属。 (多) 漢=丹那鳥兜。有毒植物として有名。茎は直立又は斜上し、
大きいものは高さ1.5mにもなる。葉は3全裂。濡れて光っているような光沢を持つ葉もあり変異が多い。
花柄には屈毛があり、兜のような、僧帽形のガク片の内側や縁には長い直毛がある。
鹿の食害に遭わないため近年は繁殖を広げている。
チゴユリ / 白岩山 / 07.06.06
ユリ科 チゴユリ属。 (少) 漢=稚児百合。木陰の林内に生える。
小さくて愛らしい、可憐な花ということから稚児に見立てたという。
近年は鹿に食べられて減少している。
チョウセンキンミズヒキ / 白岩山 / 05.08.09
バラ科 キンミズヒキ属。 (希) 宮崎県:絶滅危惧ⅠA類(CR_r)
国:絶滅危惧Ⅱ類(VU) 漢=朝鮮金水引。葉は3小葉からなり、小葉の縁には鈍鋸歯、
茎には大きな托葉がある。キンミズヒキより開花が早く、花がまばら。
秋には茎まで赤く紅葉する。白岩山が南限で九州唯一の自生地。
ツクシアザミ / 波帰 / 07.09.23
キク科 アザミ属。 (多) 漢=筑紫薊。霧立山地では主に標高千m以下に育つ。
草丈は1.5m~2.0mに達する。開花時には根上葉はなくなり、茎の上部まで葉が広がる。
近似種のヘイケモリアザミは、森の樹間の下の太陽光線が少ない環境で育つため、
根上葉を開花時も一杯広げている。本種は、草原地帯で多くの草たちと競争するため
太陽光の入らない地表面の根上葉は消えて、茎の上部で葉を広げるようになったものと思われる。
ツクシクサボタン / 白岩山 / 04.07.07
キンポウゲ科 センニンソウ属。 (少) 宮崎県保護上重要な種(OT_1)
漢=筑紫草牡丹。四国・九州の石灰岩地帯に生息する。葉は対生し、長い柄をもつ3出複葉。
小葉はやや硬く、縁には粗い鋸歯があり先は尖る。花弁のように見える反り返った
4枚のガク片はガク片の外側、花柄から花序にかけては絹毛が密生する。結実すると
風を受けて飛ぶための白い毛を開く。
ツクシチャルメルソウ / 波帰 / 06.04.17
ユキノシタ科 チャルメルソウ属。 (多) 葉は、長い葉柄があり、
表面には腺毛を密生する。和名の由来は、果実がラーメンの笛のチャルメラに似ているからという。
山地の谷沿いに生育する。トサノチャルメルソウの花弁は5~7裂している。
ツクシトウヒレン / 白岩山 / 05.08.26
キク科 トウヒレン属。 (少) 漢=筑紫塔飛廉。トウヒレンの九州型。
葉は対生し根生葉は広くて葉柄は長い、縁には鋸歯がある。花は枝先に筒状の頭花をつける。
四国にはオオトウヒレンとヒメトウヒレンがあり茎の翼や総苞片の形状に特徴がある。
かつては白岩山付近の霧立越歩道沿いにもに群落を形成していたが、今は鹿の食害で姿を消した。
鹿防護ネットの中で繁殖している。
ツクシノダケ / 涸谷 / 05.08.26
セリ科 シシウド属。 (少) 漢=筑紫野竹。以前はオニノダケと呼んでいたが、
近年ツクシノダケとして区別された。シシウドに似るが、花が暗紫色ということや
葉柄が袋状に膨らむなどの特徴がある。ノダケの花は蜜が多いと見えて昆虫が好んで集まる。
霧立越の歩道沿いに群生していたが、鹿に食べられて近年はあまり見かけなくなった。
鹿防護ネットの中で繁殖している。
ツクシヒトツバテンナンショウ / 白岩山 / 05.05.21
別名 タシロテンナンショウ サトイモ科 テンナンショウ属。 (多) 漢=筑紫一ツ葉天南星
宮崎県を分布の中心とする九州中南部の固有種。ツクシマムシグサと比して
葉に鋸歯がないものが多い。葉は1個としてヒトツバというが、茎から2個出ているので
不思議に思った。原因は、命名時に、たまたま葉が1個のものを基準標本にしたのでヒトツバに
なったという。誠に紛らわしいかぎりである。本種は、色や形に変異が多く、栄養状態により
雌雄がきまるという。夏にとうもろこしのような形の実をつけその後、真っ赤に熟す。
ツクシマムシグサ / 白岩山 / 04.05.07
サトイモ科 テンナンショウ属。 (少) 宮崎県:準絶滅危惧(NT_r) 漢=筑紫蝮草。
茎の模様がマムシの皮膚の模様に似ているからマムシグサ。本種は、苞の先が細長く水平に伸びること、
葉に荒い鋸歯があるものが多く、鋸歯の先端が尖って長い毛になっていること、
などがツクシマムシグサ特徴。テンナンショウ属は、似たようなものが多くて判断が難しい。
とうもろこしに似た形の実をつけ、秋には赤く熟する。
ツクシミカエリソウ / 涸谷 / 05.08.10
別名オオマルバノテンニンソウ シソ科 テンニンソウ属。漢=筑紫見返草。
別名「大丸葉の天人草」。葉は大きな楕円形で、対生し、有柄、縁には鋸歯がある。
花は茎の先に花穂をつけ下部からしだいに咲いて上る。雄しべ雌しべともに外側に突き出す。
和名の由来は、直立する花穂を天女の舞いに見立てたとか。しばしば大群落をつくるが
鹿の食害で鹿防護ネットの中でなければ見られなくなった。
ツチアケビ / 長峰 / 06.07.04
ラン科 ツチアケビ属。 (少) 漢=土木通。方言=サルノシャクジョウ。
葉緑素をもたない腐生植物。ナラタケと共生する。和名の由来は土の中から
出てきてアケビのような実をつけるから。方言は、実が赤いので猿の顔が
赤いことからサルとし、実が下がった茎を修験道の持つ錫杖に見立てたもの。
数年置きに地上に出て開花する。果実の写真の下層植物はフタバアオイ。
ツルキンバイ / ガゴが岩屋 / 04.04.30
バラ科 キジムシロ属。 (多) 漢=蔓金梅。葉は3小葉、
蔓によって株と株がつながっている。イワキンバイは梅雨時季に
鮮やかな黄色の花を咲かせるが、ツルキンバイは周りにまだ花がない
早い時期に石灰岩の上に繁殖して小さなお花畑をつくっている。石灰岩を好むのだろうか、
又は石灰岩の上が競争が有利なためだろうか。標高が高いのでまだ霜が下りる季節に咲く花である。
ツルニンジン / 椎葉峰越林道 / 06.09.10
キキョウ科 ツルニンジン属。 (少) 漢=蔓人参。葉は互生し、有柄、縁は波状鋸歯があり枝先に
数個集まってつく。花は大きな釣鐘状で紫色の斑点や筋が入る。種子には大きな翼がある
。図鑑等によると和名の由来は「根が朝鮮人参に似ているから」とある。別名で本種はジイソブ
(ソブはそばかすの方言)と呼び、近似種にバアソブがある。バアソブは葉の裏面や縁に毛があり、
果実に翼がないという。
ツルリンドウ / 日肥峠 / 06.09.01
リンドウ科 ツルリンドウ属。 (少) 漢=蔓竜胆。霧立越の歩道沿いでよく見かけるつる
性多年草。葉は細長くて先が尖り、短い柄がある。縁は低い波状鋸歯があり、裏面は紫を
帯びるものがある。薄い紫色の小さな花を咲かせるが果実は花に似合わず大きい。
液果で鮮やかな赤い色が目立つ。
テバコモミジガサ / 涸谷 / 05.08.12
キク科 コウモリソウ属。(少) 漢=紅葉傘。葉は掌状に深裂する。
近似種のモミジガサに比べて葉の裏面に葉脈が網目状に出る。表面に光沢が無く、
さわるとざらざらして厚い感じがする。本種は細長い地下茎を出すことでも区別できる。
頭花は筒状。本種も鹿の食害が進んでいる。鹿防護ネットの中で繁殖している。
トサノチャルメルソウ / 白岩山 / 06.05.14
ユキノシタ科 チャルメルソウ属 (多) 宮崎県:準絶滅危惧(NT_g) 国:絶滅危惧ⅠB類(EN)
深山の沢に生育する多年草。根生葉は、浅く3-5裂し不規則な鋸歯がある。長い葉柄や花茎に白い腺毛が密生
している。花茎は高さ30センチにもなり、五個の赤い花弁を広げた小さな花が横向きに十個前後つく。花を拡大してみれば
まるで風車のように見える。一見、食虫植物のように見えるが虫は捕らえない。
トチバニンジン / 涸谷 / 06.0713
ウコギ科 トチバニンジン属。 (少) 漢=栃葉人参。 葉は栃葉に似て、
長い柄のある5小葉の掌状複葉を数個輪生する。花は、長い茎を直立して黄緑色の小花を多数付ける。
果実は赤く色づく。キレンゲショウマとワサビを復活させたいと鹿防護ネットを張ったところ、
トチバニンジンも復活して驚いている。漢方で生薬名を竹節人参(ちくせつにんじん)ともいうそうだ。
地下茎が竹の地下茎のような節があることからついた名前という。健胃、去痰、解熱、消化不良、
食欲不振、気管支炎などに用いるそうである。なんとなく薬効がありそうに見える。