霧立山地の標高700m以上に自生する草本類です。植物名欄は【和名/撮影地の通称/撮影年月日】の順です。 その枠から拡大画像にリンクしています。拡大画像から戻るにはブラウザの戻るボタンから戻ってください。 ※写真使用及びお問い合わせは【こちら】からご連絡ください。
サイコクイワギボウシ / 白岩山 / 03.08.03
ユリ科 ギボウシ属。 (希) 漢=西国岩擬宝珠。本種は椎葉村での採集標本に基づき命名された。
ヒュウガギボウシと似ているが、苞が小さく花期には脱落する。
ブナの巨木の樹上に着生している。地上を探しても落下した種は発芽した形跡はない。
或は鹿が食べてしまうのかも知れない。四国では岩の上に生息するとされているが、
岩の上では見かけたことが無く、古木の上のみで育っている。よく調べてみると
変種の可能性があるかも知れない。
サワルリソウ / ガゴが岩屋 / 04.06.12
ムラサキ科 サワルリソウ属。 (多) 漢=沢瑠璃草。葉は互生し、長楕円形で有柄、
縁は全縁。花は筒状鐘形で淡い瑠璃色。軟らかくておいしそうに見えるが鹿は食べない。
化石の森やガゴが岩屋付近の林床に時として群落をつくる。
シオガマギク / 白岩山 / 05.08.10
ゴマノハグサ科 シオガマギク属。 (少) 漢=塩竃菊。葉は概ね対生し有柄、
縁には重鋸歯がある。開花期は長くひと月にも及ぶ。花が巴状にねじれているので
トモエシオガマではないかと思ったがトモエシオガマは北国のもので九州にはないという。
塩竃は、海水を煮詰めて塩をつくる竃のこと。「浜で美しい」⇔「葉まで美しい」
をかけたとか。かつては霧立越の歩道沿いに群落をつくっていたが、鹿の食害によって
消滅し、鹿防護ネットの中や鹿の上がれない岩場でしか見ることができなくなった。
シオデ / 椎葉峰越林道 / 06.09.01
ユリ科 シオデ属。(多) 漢=牛尾菜。雌雄異株。ツル性の多年草。葉は互生し有柄で、
やや厚く光沢がある。葉柄の基部から巻きひげが伸びて近くの木や草に絡み付いて上る。
花は葉えきから長い花序を出して黄緑色の小さな花をつける。年数を重ねると地中深く
根を張り大きな株となって地上にアスパラガスに似た大きな茎を出す。そうした経年株
から出る若芽はアスパラガスのような旨味があり、山菜の王様と呼ばれて珍重されて
いる。
シギンカラマツ / 白岩山 / 06.07.01
キンポウゲ科 カラマツソウ属。(少) 漢=紫銀唐松。葉は互生し、3出複葉。
夏に花弁のない花を開く。蕾のときはガクが紫色に見えるが開花と同時にガクは脱落する。
花糸、葯が黄色のものをシキンカラマツという。開花期は長く約1月ほど。
線香花火がはじけているように見える。かつては、白岩山岩峰の歩道を覆いつくすほど
繁殖していたが近年鹿の食害で激減している。鹿防護ネット内では繁殖している。
シコクシモツケソウ / 白岩山 / 04.07.07
バラ科 シモツケソウ属。(少) 宮崎県:絶滅危惧ⅠA類(CR_r) 国:絶滅危惧1B類(EN)
漢=四国下野草。葉は奇数羽状複葉で小葉が3~5枚。シモツケソウの花はもともと
紅色のようであるがまれに白花もあるという。シコクシモツケソウの白花は九州では
白岩山だけに自生する。かつては白岩岩峰を覆いつくすほど繁殖していたが近年鹿の
食害で激減し、鹿防護ネット内で復活しつつある。
シコクスミレ / 山の神谷 / 05.04.27
スミレ科 スミレ属。 (多) 漢=四国菫。葉は、葉柄が長く、葉身は心形で光沢がある。
脈がくぼみ縁には鋸歯がある。花には、紫色のすじがある。沢沿いの林床に繁殖している。
シコクハタザオ / ガゴが岩屋 / 04.04.30
アブラナ科 ヤマハタザオ属。 (多) 漢=四国旗竿。石灰岩地帯の沢沿いなど湿気の
多い岩場に生息している。葉は互生し茎を抱く、根生葉は葉柄が長い、縁には波状の
鋸歯がある。角果の長いものがシコクハタザオ。果実を見ているとなんとなくハタザオ
(旗竿)らしく見えないこともない。
シコクママコナ / 白岩山 / 05.08.26
ゴマノハグサ科 ママコナ属。 (多) 漢=四国飯子菜。葉は、長楕円形で有柄。 花冠の中に黄色の斑点があるのがシコクママコナの特徴とされる。和名の由来は、 花冠の下唇に米粒に似た斑紋があることによる。半寄生植物でカヤツリグサ科の 植物の根に自分の根をつないで養分を吸収するという。見掛けによらず地下では すごいことをやっているのだ。
シシウド / 涸谷 / 05.08.22
セリ科 シシウド属。 (多) 漢=猪独活。方言=ウズ。葉は羽状複葉で、小葉は有柄、
鋸歯がある。基部は鞘状で膨らむ。葉の裏面の脈上に毛がある。毛がなくて
葉が広ければミヤマシシウド。分枝した茎の先に白色の花を多数つける。
花弁は内側に曲がる。ウドに似ているが独特の臭いがあり牛も食べない。
茎が太くて頑丈に見える。晩秋から初冬に多数の翼果をつける。
シマカンギク / 化石の森 / 05.10.24
キク科 キク属。 (多) 漢=島寒菊。葉は柄があり5中裂する。
頭花は美しい黄色の花を開く。日当たりのよい岩場によく生え、
大きな株となる。下の茎は倒れているが上部は立ち上がって花をつける。
ショウキラン / 白岩山 / 04.07.07.
ラン科 ショウキラン属。 (希) 宮崎県:絶滅危惧Ⅱ類(VU_g)
漢=鍾馗蘭。和名の由来は花の形を鍾馗様の帽子に見立てたもの。
ギンリョウソウと同じく葉緑素を持たない腐生植物。葉は退化して鱗片状になったという。
霧立越の歩道沿いにブナの落ち葉の中から時々にょっこりと現れる。
シラネセンキュウ / 涸谷 / 05.10.11
セリ科 シシウド属。 (多) 漢=白根川?。葉は3出羽状複葉で小葉には鋸歯がある。
沢沿いの湿度の高い林床に生え、高さは1mを越える。紅葉の始まる頃、
白い小花を枝先に放射状に広げて多数つける。外側の花が先に咲き、
順次内側へと開花が進む。
シロバナエンレイソウ / 白岩山 / 06.06.16
ユリ科 エンレイソウ属。 (希) 宮崎県絶滅危惧ⅠB類(EN_r) 漢=白花延齢草。
葉が広く三枚輪生して葉脈が網目状に走る。花は3個の花弁で先が尖る。
白岩山付近の林床にはどこにでも見られる植物であったが、近年は突然に鹿の食害に遭い、
どこを探しても見つからなくなった。もはや絶滅かと思っていたところ、
鹿防護ネットの中で復活しているのに出会った。まだ、数株で花をつけるほど
元気ではないが、あと数年も経てば白い花を咲かせるようになり繁殖してくれるだろう。
とても嬉しくなり 「やあ、よくぞご無事で」とつい声をかけていた。
シロバナネコノメソウ / ガゴが岩屋 / 05.04.18
ユキノシタ科 ネコノメソウ属。 (多) 漢=白花猫の目草。ガゴが岩屋の水場10m
四方くらいは、獣たちの憩いの場所で草木は一本も生えていない。その、むき出しの
土手際に張り付いて咲いている。獣もこの植物は敬遠して食べないようだ。短毛に
嫌気がさすのか、又は草丈が低いので鼻がつかえて食べづらいのだろうか。
ジンジソウ / 松の平 / 05.10.19
ユキノシタ科 ユキノシタ属。 (多) 漢=蔓人字草。葉は円形で浅い切れ込みがある。
根生葉は束生、長い柄がある。和名は、花の形が人という字に見えるから。沢沿いなど
の湿ったところに生え、群落をつくる。ユキノシタ属の仲間では最も遅く開花する。
センブリ / 馬つなぎ場 / 02.10.02
リンドウ科 センブリ属。(少) 漢=千振。強い苦味があり、胃薬として知られている。
茶碗に3~5本くらいの干したセンブリを入れて熱湯を注ぎ、お湯がさめた頃合いで
飲用していた。何度も使えるから千振。近年、草原がなくなってからセンブリもあまり
見かけなくなった。馬つなぎ場はその昔草原であったため、今日でも歩道沿いに残って
いるのだと思う。
センボンヤリ / ガゴが岩屋 / 05.04.18
キク科 センボンヤリ属。(少) 漢=千本槍。化石の森の下部で石灰岩の峰を
歩いていたら岩の隙間にひっそりと咲いていた。深山で見かけると不思議な植物に見える。
調べてみるとセンボンヤリであった。別名ムラサキタンポポともいうそうである。
ソバナ / 白岩山 / 05.08.09
キキョウ科 ツリガネニンジン属。 (少) 漢=岨菜。葉は互生し有柄、
縁には鋸歯がある。愕裂片は5裂し、花冠は鐘形で先は反り返る。花柱はやや外に出る。
和名の由来は、岨(そば:嶮しい崖)に生えて食用(菜)になるからという。ソバナの花を見ると、
なんとなく秋の気配を感じる。近年は鹿の食害に遭い減少している。
鹿防護ネットの中で繁殖している。