霧立山地の標高700m以上に自生する草本類です。植物名欄は【和名/撮影地の通称/撮影年月日】の順です。 その枠から拡大画像にリンクしています。拡大画像から戻るにはブラウザの戻るボタンから戻ってください。 ※写真使用及びお問い合わせは【こちら】からご連絡ください。
バイケイソウ/ 白岩山 / 05.06.25
ユリ科 シュロソウ属。 (多) 漢=梅恵草。葉は互生し基部は茎を抱く、
縁は全縁。茎の先に白くて中央が緑色の小花を多数つける。雪どけの季節に蘭
のような美しい新芽を出す。有毒植物で鹿の食害がないので近年は増えている。
ハイサバノオ / 白岩山 / 06.05.20
キンポウゲ科 シロガネソウ属。 (多) 漢=這い鯖の尾。草丈十数センチあまりの
小さな植物で沢沿いの湿地帯に生育する。花の径も1センチに満たない。気をつけて
見なければ踏み潰しそうな花であるが、よく見ると面白い形をしている。開花期が長く、
花と果実を同時に見ることができ、その果実が鯖の尾をイメージすることからサバノオ。
枝先が這うように斜めになることからハイ。白岩山がタイプ産地(原標本産地)。
ハガクレツリフネ / 涸谷 / 04.08.03
ツリフネソウ科 ツリフネソウ属。(多) 漢=葉隠釣舟。葉は互生、有柄、縁には鋸歯がある。
和名の由来は、葉の下に隠れるようにして花をつけるため。図鑑等では「釣舟」
となっているが釣のイメージはないので、舟を吊り下げたようなという意味で「吊舟」
ではないかと思う。沢沿いの湿地帯に多い。熟した果実は他から刺激を受けるとパチン
とはじけて種を遠くへ飛ばす。開花期は長く10月頃まで咲く。
ハナウドの変種 / 白岩山 / 06.09.04
セリ科 ハナウド属。 (希) 漢=花独活。葉は3出複葉で広くて大きい。花は、
花序の外側の花弁が大きくて外側に長い。ハナウドに似ているがハナウドは
開花期が5―6月のためハナウドそのものではない。宮崎植物研究会の
南谷忠志氏によるとツルギハナウドに近いものだが、葉の毛に違いがあり、
今後の調査に待ちたいという。白岩山に固有なものとなる可能性もある。
ハバヤマボクチ / 白岩山 / 08.10.09
キク科 ヤマボクチ属。 (希) 漢=葉場山火口。葉は三角形で有柄、縁には欠刻状の鋸歯がある。
葉裏は白くて綿毛が密生する。花は筒状花でクモ毛をかぶる。和名の葉場山は草原の山、
火口(ほくち)は火打ち石から火種を移し取るものを意味するという。もともとは草原性の
植物。近似種に葉が長くて大きいオヤマボクチがありオヤマボクチの葉を乾燥させてその綿毛
を手打ち蕎麦のつなぎに利用する郷土料理がある。
近年、鹿の食害で姿を消している。
ハルリンドウ / 向坂山 / 04.05.23
リンドウ科 リンドウ属。 (多) 宮崎県準絶滅危惧(NT_r) 漢=春竜胆。
フデリンドウとよく似ているが、①根生葉が大きくロゼット状であること。
②5裂する花冠の間の副片が大きくて10裂しているように見えること等により見分ける。
スキー場の土手で初めてこの花に出会った時、思わず「うわーっ、かわいい。」と
声を上げてしまった。草原性のリンドウがひっそりとここに生きていたのか、
それともスキー場の工事で運び込まれたのか定かではない。
ヒナノウスツボ / 涸谷 / 05.08.10
ゴマノハグサ科 ゴマノハグサ属。(少) 宮崎県絶滅危惧Ⅱ類(VU_g) 漢=雛の臼壺。
葉は対生し、有柄、縁には鋸歯がある。花は上唇は2裂、下唇は3裂、
下側中央の1片は反り返る。花柄には腺毛が密にある。あまり目立たない
地味な花であるが鹿の食害により姿を消しつつある。。鹿防護ネットの中で繁殖している。
ヒメウワバミソウ / 涸谷 / 05.08.12
イラクサ科 ウワバミソウ属。 (多) 宮崎県:絶滅危惧Ⅱ類(VU-g) 漢=蟒蛇草。雌雄異株。
葉は互生で左右がゆがむ。縁には粗い鋸歯がある。ウワバミソウより葉が小さい。
ウワバミとは大酒飲みの大蛇をいう。和名の由来は、蛇が出そうな陰湿な沢沿いに
あるからという。そういえば、葉の形まで大蛇がうごめくようなイメージがある。
秋に珠芽(むかご)がつく。若芽は食用とする地方もある。
ヒヨドリバナ / 涸谷 / 05.08.12
キク科 フジバカマ属。 (少) 漢=鵯花。葉は短い柄があり、対生、
縁には粗い鋸歯がある。頭花は筒状で花柱の先が長く伸びる。普通は白色だが
薄紅紫色もある。和名の由来は、ひよどりの鳴く季節に開花するから。
花には昆虫がよく集まる。写真はアサギマダラ。鹿の食害に遭い姿を見せなくなった。
鹿防護ネットの中で繁殖している。
フタバアオイ / ホーノキ谷 / 06.05.02
ウマノスズクサ科 カンアオイ属。 (少) 漢=双葉葵。茎は地面を這って伸び、
葉は2枚で対生する。長い葉柄を伸ばした葉身は心形で縁には白い毛がある。
葉柄の基部に筒状の紫褐色の花をつける。徳川幕府の葵の紋となったことで有名。
沢沿いの湿地帯に生息する。
フタリシズカ / ガゴが岩屋 / 04.05.30
センリョウ科 センリョウ属。 (多) 漢=二人静。葉は対生し縁には鋸歯がある。
穂状の花を二本頂生するので二人静(まれに三本のものもある)。
花は内側の雌しべを包み込む。源義経に愛された白拍子の名手「静御前」
の亡霊二人の舞い姿にたとえたとされる。まっすぐに立つ花穂の角度の違いが、
まるで二人で踊っているかのように見える。鹿の食害に遭わなくて繁殖している。
フデリンドウ / 白岩山 / 05.04.09
リンドウ科 リンドウ属。 (少) 漢=筆竜胆。花が筆の穂先に似ていることから筆が付く。
根生葉は、もともとがロゼット状にならないのがフデリンドウとされているが、
写真右に見えるようにロゼット状に近いので?がつく。さりとて、花冠の副片が
ハルリンドウのように大きくはないので変種の可能性も。白岩山やガゴが岩屋、
化石の森などの石灰岩の岩場に咲く。開花期は長く、ひと月ほど続く。
あまりにも小さいため、気付かずに通り過ぎることもある。踏圧などによる環境
の変化に弱いので注意したいものである。
ヘイケモリアザミ / 涸谷 / 06.09.04
キク科 アザミ属。 (多) 漢=平家森薊。霧立山地の標高千m以上の高いところに生息する。
開花時にも根生葉が多く残り、茎の上部ほど葉が小さくなる。葉の刺は軟らかい。
頭花は筒状で、中ほどの節の部分が雌花、先端の色が変わっている部分が雄花。
近似種のツクシアザミは、開花時には根生葉は消滅して無くなっている。
ヘイケモリアザミは、ブナ帯の樹間の下の林床の太陽光線が少ない環境で育つため、
根生葉を一杯広げて光りを吸収しようとした。ツクシアザミは草原地帯で他の多く
の草本植物たちと競争するため太陽光の入らない根生葉は切り捨て、茎の上部の光り
を受ける部分で葉を広げようとした。こうしたことが違いを作ったものと思う。
両者とも若葉を味噌汁にすると美味。近年は鹿の食害で急速に姿を消している。
ホソバシュロソウ / 白岩山 / 04.07.27
ユリ科 シュロソウ属。 (少) 漢=細葉棕櫚草。別名=ナガバシュロソウ。
石灰岩の隙間に根を張り生息している。有毒植物のバイケイソウなどと同属で根には
毒があるそうだ。和名の由来は、シュロのような繊維の古い葉が基部に残ることから
棕櫚草。目立たない花だが彫金のように頑丈に見える。図鑑によっては、九州には
記載されていないものもある。
ホタルサイコ / 白岩山 / 04.07.27
セリ科 ミシマサイコ属。 (少) 宮崎県:絶滅危惧ⅠA類(CR_r)
漢=蛍柴胡。葉は互生し茎を抱く。葉の裏側は白い。枝先に黄色の小さな花をつける。
和名の由来は、ぽつぽつと咲く黄色の花を蛍の明かりに見立てた。日本固有種。
白岩山を南限とする植物。